大阪産業大学からのお知らせ
大阪産業大学からのお知らせ
平成27年10月27日(火)、多目的ホールにて開学50周年記念シンポジウムとして『スポーツ活動を安全に行うために~脳震盪から身を守る~』が開催されました。一般学生、クラブ学生、教員、大東市教育委員会など約300名の出席者があり盛会となりました。3名の講師による講演が行われ、脳震盪への対応?予防について理解が深まる内容でした。
以下は講演の内容です。
【研究発表】
アメリカンフットボール選手における脳震盪
大阪産業大学アメリカンフットボール部
アスレチックトレーナー:岸本恵一先生
近年,繰り返す脳振盪により一般的に”パンチドランカー”と表現される「慢性外傷性脳症」への移行や,「認知機能低下」など明らかとなり,再び注目を集める外傷となっている。今回、「慢性外傷性脳症」へ移行するような予後不良例の脳振盪は、ハードヒットを繰り返すことで生じるのか、それとも日々の軽度の頭部打撲が引き金となり生じるのかを明らかとするための基礎研究を、アメリカンフットボール選手を対象に、SCAT2という脳振盪評価のためのスタンダードツールを用いておこない、繰り返す頭部への外力により認知機能が低下するという知見を得た。
【基調講演】
学校体育にける頭部外傷事例について
京都学園大学健康医療学部
柳田泰義教授
軽い脳震盪なら、しばらくすると日常の生活に戻ることができる。しかし、スポーツ時にみられる急性硬膜下出血は緊急処置を必要とする。「頭を打たない転倒」のような直接的に頭に打撃を受けない“介達外力”でも脳震盪や急性硬膜下血腫などは発生する。学校体育やクラブ活動でのケガの中には、命を落としたり、重度の障がいを残したりして訴訟問題に至っている事例もあるため、頭部外傷予防について真剣に取り組まなくてはならない。
【特別講演】
頭を打った時の注意事項と対処~脳震盪の取り扱いを中心に~
国際武道大学
体育学部 教授
豆腐パックを揺さぶると浮かんでいる豆腐が崩れてしまう様に、外傷により脳も損傷を受け、その際に血管が傷つくと脳出血を生じる。外傷後に頭痛が続く中には慢性硬膜下血腫を形成しているものがあり、手術が必要な事例がある。近年、1度目の脳震盪症状が完全に消失しないうちに再度脳震盪を受傷すると急激に重症化し、その際の死亡率は50%にもおよぶという「セカンドインパクトシンドローム」の報告があるため要注意である。日本臨床スポーツ医学会「頭部外傷10か条の提言」「スポーツ現場における脳震盪の評価」には、スポーツ現場で役立つ情報が掲載されており、無料でダウンロードできるので、ぜひアクセスしてほしい。